進化の歴史から【うつ】を考える・・・

   

7d195714f4b420ffae7db79d0fbd02ae_sFROM 河村悠矢

現代社会は、ストレス社会と言われるほど
多くの方がストレスに悩まされ、
ストレスが原因となった病気は
思っている以上に多い状況です。
例えば、生活習慣病のひとつである糖尿病。
あまり知られていませんが、
実はストレスが原因となっているのです。

ストレスの代表疾患【うつ】を考える

うつの原因はストレスだと言われます。
うつとは、主に精神的な病であり、
現代病の代表とも言える病気です。
世界的に見ても3.5億人もの
有病者がいると言われる一方で、
適切な治療が施されていないのが現状です。

ストレスがうつにどう影響するのか

ストレスを言い換えると、
恐怖、不安、悲しみなどといった
マイナスの感情を表します。
これらの感情に対して反応を示すのが、
脳内にある、扁桃体という部分です。
うつは、この扁桃体への過剰な刺激から
本来分泌されるストレスホルモンが
過剰になることが問題です。

ストレスホルモンは、呼吸・脈拍の増加や、
血圧の上昇、硬直などといった状態を作り出しますが
過剰になれば、脳内の神経細胞にダメージを与えます。
これが原因となり、感情が感じれなくなる=
うつ状態を引き起こすと言われています。

元々は命を守るための危険回避能力だった

5億2000万年前・・・
私たちの祖先である魚類には
【外敵から身を守る機能が脳にあった】
と言われています。
その機能を持った脳こそ、扁桃体です。
この頃から扁桃体は、
敵が近づくと危険を察知し、活動しました。
扁桃体の反応はストレスホルモンを分泌し、
それに伴い、全身の筋肉が活性化します。
この仕組みから、魚は運動能力を高め、
素早く天敵から逃げることができたのです。

つまり、命を守るために扁桃体が反応し、
ストレスホルモンを分泌していました。
もちろん、天敵から逃げて危険が去れば
ストレスホルモンの分泌も次第に収まりました。

進化の産物が「うつ」の起源

生物が進化する過程の中で、
扁桃体は天敵以外からも反応を示すようになりました。
それは扁桃体の隣にある海馬が影響しています。
海馬は記憶を司りますが、
扁桃体が働いた危険回避を
恐怖の経験として記憶するようになりました。
これも命を守るために必要な機能ですが、
恐怖の記憶を思い出すたびに扁桃体は反応をし、
ストレスホルモンを分泌するようになったのです。

言語野の発達も「うつ」の起源

190万年前の人類から
【ブローカ野】という
言葉を司る部位が発達してきました。
私たち人間にとって、言語は特別なものであり、
人としての象徴でもあります。
しかし、言語が普及していったことにより、
他人の恐怖の経験が言語として伝えられ、
その言語からも扁桃体が反応するようになりました。

元々は危険回避だけが引き金だった扁桃体の反応は、
記憶も言語も、その反応の引き金となっていったのです。


まとめ

ストレスは元々、危険回避の反応だった。

進化とともに、記憶や言語からも扁桃体が反応するようになった。

扁桃体への過剰な刺激がストレスホルモンを過剰にする。

ストレスホルモンの過剰がうつの原因となる。

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